
言わずと知れた不朽の名作パンツ「トリップスター」を世に送り出し、今や日本を代表するブランドのひとつとなった〈ベドウィン & ザ ハートブレイカーズ(BEDWIN & THE HEARTBREAKERS)〉がこの度、〈アディダス オリジナルス(adidas Originals)〉とのコラボレーションを発表。昨年発表した〈STUSSY & THE HEARTBREAKERS〉も記憶に新しいところですが、これまで目立ってコラボレーションを行ってこなかった〈ベドウィン〉が、なぜその姿勢を変えて来たのか。ブランドヒストリーを交えつつ今回の〈アディダス オリジナルス〉とのプロジェクトについて、ディレクター渡辺真史さんに語っていただきました。
Photo_Satomi Yamauchi
Edir_Hiroshi Yamamoto, Jun Nakada
-まず〈アディダス〉の話の前に。〈ベドウィン〉はブランド立ち上げからどれくらい経っているんですか?
渡辺真史(以下渡辺/敬称略): かれこれ10年くらいですが、コレクションという形式では6年くらいです。
-正式に公表しているのは2007年ですよね?
渡辺: そうですね。すぐにブランドを大きく立ち上げるということに抵抗があったので、それまでは特にテーマを設けず、小物をちょこちょこ作っていたんです。2004年くらいですかね、僕はストリートが好きなんですけど、その次にどんな服を着たいんだろうってふと思ったことがあって、いきなりハイエンドにいくのも自分らしくないし、いわゆるストリートのスタンダードな部分をアップデートさせたような服を作ってみたいなって。それでまずジャケットを作って、その後にタイや革手袋、サングラスを足していったんです。その頃はドメスティックブランドだと、まだどこもやってなかったので、うちのスタッフにも周りの人にも、何をやりたいのかよく分からないってよく言われてました(笑)
-そうだったんですね。
渡辺: 言葉で説明してもみんなピンときてなくて。ストリートがすごく盛り上がってたし、自分もストリート出身だし、Tシャツを着る感覚でネクタイ作っても面白いんじゃないかとか、革ジャンを着る感覚でジャケットを羽織るというか。そういう感覚で、あくまでもストリートなエッセンスから来てるんです。アイテムとしてはいわゆるメンズウエアというかジェントルマンスタイルみたいのを模索しながら始めました。そしたらやっていくうちに、アメトラとかプレッピーみたいなスタイルが流行りはじめて、ちょうどリンクしたというか。
-なるほど。
渡辺: でも最初はなかなかカテゴライズしづらかったですね。コレクションとして世界観を見せてたわけでもなかったし。アイテムとしての見せ方やコンセプトだけを語っても、みんないまいち納得しなかったから。それのどこがストリートと違うの? とか、ハイエンドに行こうとしてるのかよく分からない、みたいな感じだったんですが、時間の経過とともにだんだん周りが興味を持ちはじめたっていうか。プリントTシャツもあるけど、ジャケットやスーツもキチッと作ってるようなブランドとして、少しずつ認識されはじめましたね。それがちょうど2007年ぐらいですね。
-それで"& THE HEARTBREAKERS"がついたわけですね。
渡辺: そうです。そこで初めてコレクションとして出したタイミングですね。
-なるほど。ということは最初の頃から渡辺さん自身のスタンスは変わってないんですね。
渡辺: まったく変わってないですよ。
-時代と渡辺さんの考えが合ってきたと。
渡辺: 合ってきたっていう感じはしますね。ただ別に僕が早かったとかではなくて、年も33歳くらいだったし。ブランドを始めたのは30歳ぐらいで、10~20代のときはスポーツブランドやワーク、ミリタリーが好きでした。もちろんDCブームもありましたが、ヨーロッパやアメリカのブランドをミックスして着てましたね。それが自分らしいと思っていたし、東京っぽくて日本らしいファッションなのかなって。
-なるほど。僕らとしては「トリップスター」の大ヒットが印象深いです。ヒットの理由についてはどう見ていますか?
渡辺: 「トリップスター」のデビューは2007年ですね。で、最初はみんな"なんでこんな変な丈で切ったの?"とか、"なんで裾が詰まってるの?"とか、結構言われましたね。確かに見た目に個性のあるパンツだったので、なかなか穿きづらかったというか。だけど、周りの友だちが、こういうのって面白いよねってところから始まって、みんなで作り上げていった感じです。それがブランドを体現するようなアイテムに成長して。海外の人も最初は"もっと普通なアイテムがいい"って言ってたのが、ここ1,2年で"あのシルエットが良いよね"って言うようになって。そういうのはすごく興味深いなと思います。そもそもの「トリップスター」の形は、ロサンゼルスのスケーターが自分でディッキーズをカットオフして安全ピンで留めて、スケートの時にばたつかないようにカスタムしていたとか、BMXに乗るときに、腰が結構ゆったりしてて動きやすいんだけど、裾がチェーンに絡まらないようにするとかそういう機能的なところからきてるんですよ。
-ここまでヒットすると、ちょっと距離を置いたりはしないんですか?
渡辺: 「トリップスター」は今でも出してますし、好きな形なんですけど、個人的には「トリップスター」が一番好きというわけじゃないんです。スタジャンとかピーコート、シャツだってすごく好きなので。そのなかで「トリップスター」も同じくらい好きっていうだけなんです。みなさんに愛されているのは「トリップスター」なんだという実感はありますけど、僕としてはあくまでもコレクションの中のひとつのアイテムとして捉えています。
-これだけ盛り上がった後の「トリップスター」の扱いは難しかったりするんじゃないですか?
渡辺: 「そうですね。デザイナーさんやブランドによっては止めてしまったりすると思うんですけど、「トリップスター」はモノ作りにおける背景もそうですし、仲間と一緒に作り上げてきたっていう部分があるので、やっぱり大事にしたい部分ではあるんです。「トリップスター」があったおかげでブランドをたくさん人に知ってもらえたとも言えるし、ものすごく感謝してますよ。
-では本題の〈アディダス オリジナルス〉の話に。たしか最初はBEAUTY&YOUTHとのコラボスニーカーから始まったと思うのですが。
渡辺: そうですね。今から3年ぐらい前で、ちょうどコラボレーションに対して興味を持ち始めた頃でした。〈アディダス〉からユナイテッドアローズを絡めたプロジェクトをやるのでどうですか? という話しがあって、是非シューズをやりましょうって感じで始まったんです。でも、とにかく大きな会社と「B.B.U(2010年にスタートしたBEDWIN & THE HEARTBREAKERS、BEAUTY&YOUTH、UNDEFEATED)の3社によるプロジェクト」の枠でやるには難しい面もありました。その時にコレクションで世界観やコンセプトをしっかり見せていきましょうって話を〈アディダス〉にしたら、興味を持ってもらえて。その2年後ぐらいに改めて話す機会があって。最初は〈ベドウィン〉としてやれることと〈アディダス オリジナルス〉でやれること、お互いブランドなので、色々出したいことがぶつかると思っていたんです。そしたら「B.B.U」のときよりも柔軟で、自由度も高くて、本当に色んなことをさせてもらえましたね。
-そもそも、渡辺さんにとって〈アディダス〉というブランドに対する印象はどういうイメージなんですか?
渡辺: ぶっちゃけて言うと、きっかけは「キャプテン翼」です。
-(笑)
渡辺: 元々サッカー少年で、サッカーの人気が出てきた頃に〈アディダス〉を知って、色んなモデルを履いてきましたね。3本線とかマークなんかを、授業中机の上に書いてましたね。そういうところから入ってきのでやっぱり小さい頃から大好きなブランドでした。もちろん他のブランドが色々あるなかで、〈アディダス〉はやっぱりアディダスの強いブランディングがあったのでまぁそのころ、僕らみたいな小さなブランドからしたらブランディングなんて全く分からないんだけど、ただなんとなくあの清潔感とか、ブルーをキーカラーにしたヨーロッパっぽいブランドの展開の仕方とか。そういうのはなんか小さい頃から、他とは違うなって思ってました。
-初めて買った〈アディダス〉のアイテムって何ですか?
渡辺: ジャージですね。
-トラックスーツですか?
渡辺: そうです。当時70~80年代だったので、やっぱりCAMPUSとかCOUNTRYですよね。80年代になってからは、音楽シーンでRUN DMCやビースティ・ボーイズなんかが出てきて、なんかサッカーの時にだけ着る洋服じゃないっていうか、自分のライフスタイルやファッションに〈アディダス〉が入ってきたって感じ。最初こそスポーツから入ったけど、それがいつの間にかファッションとリンクしていたというか。とはいえ、自分の中ですごくスポーツ的なリスペクトの方が強いのは確かです。
-〈べドウィン〉のモノづくりと〈アディダス〉で共通する部分ってありますか?
渡辺: 〈アディダス〉っていうとすごく大きなブランドで、それぞれのラインによって考え方やコンセプトも違うと思うんです。僕たちがコラボレーションさせてもらったのは〈adidas Originals〉で、彼らの考え方と自分たちの考え方にほとんど違いがなかったのは驚きでしたね。彼らも僕らと同じくリアリティを求めていて、日々の生活の中でどんな服を着ていたら快適か、気持ちがいいか、ライフスタイルをいかに面白くしようかっていうのがコンセプトにあって、その中にスポーツっていう軸が入ってきている。自分たちはスポーツだけではないけど、日々の生活をどれだけ面白くできるかってところがコンセプトなので。だから話してて考え方が似てるなっていうのは感じました。
-今回のコラボレーションは、スムースにモノづくりが進んだと。
渡辺: はい、すごくスムースでしたね。最初は大きな会社だし、しかも日本に支社があって、色んなレイヤーがかかっていて、ひとつのことを通すためのたくさんのプロセスがあると思ってましたけど、本国の人たちとも話が合ったし、日本の〈アディダス〉クルーも自分たちのことを理解した上でオファーを頂いたので、とても仕事がしやすかったです。
-テーマやコンセプトは設けているんですか?
渡辺: はい、今回のプロジェクトは、日本発信で、日本のクリエイティビティを世界に見せていこうっていうところから始まりました。じゃあ日本のクリエイティビティって何だろうって自分に問いかけたときに、やっぱり自分たちが東京に住んでいて、モノが好きで、カルチャーが好きで、ファッションが好きでっていう自分たちが生活している場面を考えて、そこに〈アディダス〉のスペックというか、生地だったり、縫製だったり、発信力だったりをプラスした感じです。僕たちはこれがいい、いや私たちはこれがいい、みたいなぶつかりは全くなかったですね。
-難しかった部分はなかったんですか?
渡辺: 思っていたほどではなかったです。
-(笑)
渡辺: 僕たちはそんなに歴史が古いブランドではないですが、「トリップスター」とか自分たちが出したいアイテムがそんなにたくさんはあるわけではないので。相手側も60、70年代の僕が初めて〈アディダス オリジナルス〉に出会った時のイメージを借りたいっていうのがあったので。当時のベッケンバウアーの生地を使ったトラックスーツのイメージでその生地を使ってみたりとか、自分が幼少のころ履いてきた靴を今履いている靴と合わせてみたりとか。
-ジャージ素材のトリップスターはかなり衝撃でした。
渡辺: そうですよね。実はジャージの素材で「トリップスター」を作るという話は前にも出ていたんですよ。でもジャージの素材といっても、別に〈アディダス〉のジャージが使えるわけでもないし。だから、うまくいかないんじゃないかってなって。だけど、今回の機会をもらってチャレンジしてみようよって言ったら、意外とうまくいったっというか。シルエットの出し方とか、ジャージ特有の生地の落ち感とかもあるんで、そこをどういうふうに料理していこうかなんて思ったんですけど、仕上がりはとてもいいですね。〈ディッキーズ〉とはまた違う味が出せたっていうか。
-とにかくラクでお洒落なパンツですよね。今までも十分お洒落でしたが、まさかジャージとは。
渡辺: そうですよね、さらに着心地が良くなりました。〈アディダス オリジナルス〉の方たちから「3本線が入ったトラックスーツもカッコいいんですけど、それを着こすのはなかなか難しいんですよね」っていう声が挙がっていたので。〈アディダス〉で働く人たちの勝負服を作っていけるか、そこも自分の中ではチャレンジでしたね。あと、〈アディダス オリジナルス〉の中には、ブルー、レッド、グリーンとか、いわゆるヘリテージの色がいくつかあるんですけど、それが逆に〈ベドウィン〉では使ったことのない色だったりするんですよ。カラフルな色使いはパンツだと出しづらいっていうか。でも〈アディダス〉とやるからこそやってみる価値はあるかなと思いました。
-すごく楽しんで出来たわけですね。
渡辺: そうですね。昨年〈ステューシー〉ともコラボレーションさせてもらいましたが、昔は意味の無いコラボレーションがすごく多いなと思っていて、自分としてはあまり興味がなかったんです。でも〈ディッキーズ〉や〈ステューシー〉とのコラボもそうだし、〈アディダス オリジナルス〉とのコラボもすごく楽しくて。だから今はコラボレーションってやり方によっては面白い化学反応が起こるもの、だと思ってます。
-ジェレミースコットや倉石さんのラインなど、〈アディダス オリジナルス〉を代表するラインがいくつかありますが、一緒に並んだ感想はどうですか?
渡辺: 並んでるという意識はまったくなくて、ただジェレミーさんが作るモノづくりと倉石さんが作るモノづくりとは全く違うと思うんですよ。自分たちがいつも大切にしているシンプルな部分やベーシックな部分を表現したかったというか、自分らしいモノが作れればいいかなって。だから他と比べてどうとかは全然気にしなかったですね。例えばジェレミーさんの服を着てクラブに遊びに行く子たちはすごく面白いなと思うし、ジェレミーさんてきっとこういう人なんだろうなって想像できます。倉石さんはすごくモノにこだわって、色んなディテールを足していくデザイン方法で。ひとつの原宿的な要素でもあり、キッズたちがそれを着ているとすごく似合うなって思うんです。僕たちの場合、ちょうど自分たちと同じ30~40代の人たちが楽しんで、気持ち良く服を着れたらなと思っていて。だからジャージ素材のネクタイとか、自分なりに大胆なことはやったつもりでいます。
-(笑)。そこで勝負するフィールドではないですからね。
渡辺: はい、自分たちのフィールドで、如何に〈アディダス オリジナルス〉と面白いことができるかってことですよね。ただ彼らと同じラインに並んだところで見せることができたのはすごく光栄に思っています。
-実際〈アディダス オリジナルス〉と一緒に同じラインでやるってことは、世界的にブランドととしても広告効果があると思うのですが。
渡辺: そうですね、もう既にドイツやイギリス、アメリカもそうですし、香港とか、色んなところにいる友達からフィードバックが来ていて、やっぱり〈アディダス オリジナルス〉の発進力、影響力はすごい大きいんだなと感じてます。
-実際、〈ベドウィン〉は海外での評判はどうなんですか?
渡辺: 海外では30店舗くらい取り扱いがあります。それこそメキシコやロシア、デンマークやスウェーデンにもあります。でも意外とパリではやってなかったりするんですよね。僕たちが作ってるものを通じて、1人でも多くの人と服の話ができたらいいよねってところからブランドを始めているので、今回のプロジェクトをきっかけに、普段やっているインラインの服を見てくれたり、ブランドを知ってもらえるのはすごく喜ばしいことですよね。
-海外での販路が増える気がするんですけど。
渡辺: そうなると嬉しいですよね。なんか〈アディダス オリジナルス〉が面白いことやってるぞってところで、今後の反応は気になります。
-実際、もうちょっと〈ベドウィン〉の方がストイックなので、たぶん今回のコラボアイテムを見て好きになった人は、もっと取り憑かれるんじゃないかなと。
渡辺: そうですね、ちゃんと着れる服というか、毎日着て飽きない服を作りたいなと思っているので。1回着てっていうよりも、毎日の生活にとけ込めるような服として、今回のプロジェクトもやっているので。だから、そこから入ってきて〈ベドウィン〉の洋服を見て好きになってくれたらいいですよね。
-このコラボレーションは今後も?
渡辺: いちおう最初に話した時は1シーズンだけだったんですけど、14年の春夏も行うことになりました。自分としてはそれで満足しています。凝縮したものを良いタイミングで出すことに意味があると思うので。
-「トリップスター」くらいは継続して出して欲しいですけどね(笑)
渡辺: まぁ、それはインラインで(笑)
-今回のコラボレーションのタイミングはすごく良かったのではと思っています。というのも、これだけ「トリップスター」が流行って、日本では〈ベドウィン〉がある程度認知されたなかで、その次に世界を視野を向けた場合、過程はどうあれ、アプローチしやすいのかなと思うんですが。
渡辺: すごくいいタイミングだったと思いますよ。正直なところ、本当に今なのかって考えたんですけど、やっぱり今だったんですよね。以前、海外のシンガーがうちの事務所に遊びにきたいと言われて、でも、その頃は色々とブランドの方向性について考えている時だったので断ってしまったんです。彼の音楽も好きだし、彼のようなアイコンになる人たちがいないとファッション業界は盛り上がらないと思うし。彼のスタイルが良いか悪いかは別として、彼の存在自体はすごく影響力があるわけですし。そこで、まだ4、5年しか経ってない〈ベドウィン〉がそこに入って、違う使われ方で伝わってしまったりするのはどうかと思って。だからその頃は、大きな影響力を避けてたんですよね。ただ、ある程度日本で認知されたアイテムがあって、〈ベドウィン & ザ・ハートブレイカーズ〉ってこういう感じだよねって皆が理解してくれるようになったので、〈アディダス オリジナルス〉や〈ステューシー〉のように、大きなブランドと色んなことをやっていきたいなと思っています。
-ちなみに次のシーズンは?
渡辺: 〈ベドウィン〉らしさが入ったコレクションになっています。極端に変わってしまうのも危険かなと思っていて。基本的には同じコンセプトでやっていきたいし、〈アディダス オリジナルス〉からもそう言われているので。次のシーズンは今回の延長線上といった感じです。
-ちなみにグローバルの大きなブランドとコラボすることによって、ご自身に影響はありますか?
渡辺: 例えば、アメリカとかイギリスとか、行きたいところに行く前に、色々写真とか雑誌で調べていくじゃないですか。でも、実はあんまり遠くなかったっていうか。それと同じで〈アディダス オリジナルス〉もグローバルですごく大きなブランドで、大丈夫かなって心配しましたけど、実際中に入ると意外に気さくな人たちが多かったり、すごく親しみやすい人たちなんだなっていうのは感じました。やっぱりお互い興味を持ってるところが同じだと話もしやすいし。飛び込んで行くことに対しての免疫がついた感じですかね。
-そういう経験が〈ベドウィン〉のクリエイティブにも反映されると。
渡辺: そうですね。ただ自分たちにできることが限られていて、〈アディダス オリジナルス〉みたいに価格や枚数とか発進力に関しては到底及ばないので、その逆の部分、つまり小さなブランドだからこそできる小刻みのいいフットフークだったり、大きなところにできないことを如何に自分たちのサイズで表現していくかっていうことをさらに突き詰めていきたいと思っています。
-ちなみに〈アディダス オリジナルス〉に関わらず、この先企んでることってありますか? 具体的に動いてることがあれば。
渡辺: 企んでることは結構あって、この延長でアメリカとかイギリスの老舗のブランドと何かしてみたりとか、大きくて機動力のあるブランドとプランを立ててはいるんですけどね。ただしっかりとやります!って話にはなっていないので、まだ企んでる段階です。
-そうなると〈ベドウィン〉のコレクションにより深みが出てきますね。
渡辺: ただ〈ベドウィン〉としてやるか個人としてやるか、あるいは違うユニットでやるか、そこは自由に考えていきたいなと。〈ベドウィン〉は〈ベドウィン〉で世界観があるので。そこをあまり壊すようなコラボレーションやプロジェクトはしたくないんです。〈アディダス オリジナルス〉はたまたま波長が合ったので、スムースにできたというだけで。ただ個人的にはすごく興味があって、コラボレーションすることで〈ベドウィン〉にとってもプラスになる部分はあると思っています。いずれにしても、ブランド自体と個人のスピード感でいうと、やっぱり個人の方が早いし、ブランド側が急激に変えたりとか、お客さんを裏切るようなことはしたくないので、もう少しゆっくりやっていこうかなって。
-では、最後に読者にメッセージを。
渡辺: メッセージというか、自分にも言い聞かせてることなんですけど、洋服って楽しまなきゃ意味ないと思うんです。でも色んな理由で段々楽しめなくなっている人や、今のファッションは面白くない、昔は良かったとかネガティブな声を結構聞きます。自分は洋服が好きだし、朝起きて今日はコレ着ていこうとか、昨日買った洋服を週末のパーティに着ていこうとか、そういう気持ちはやっぱり持ち続けたいし、皆にも持っていてほしいなって。高くて買えないとかあるけど、好きな洋服を頑張って着てほしいし、楽しんでほしいなって。そんな洋服のひとつに〈ベドウィン〉はなりたいなって思っています。それこそ今回の〈アディダス オリジナルス〉とのコレクションから入って、色んな人に気づいてもらたら嬉しいですね。
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